たまたま見た感動したもの:山根一仁くんの演奏

 映像を探してみたけれど、ニュース映像以外にまだどこにもないので、文字だけで書きます。(後からニュース映像をアップしました。)

 10月23日(土)に行なわれた日本音楽コンクールのバイオリン部門の本選演奏を、本当に偶然に、ある日の午前中にNHKで見た。いつもテレビは昼間はつけないようにしていたのだけれど、その日はなぜか午前中からアイロンがけでもしようと思い、テレビのスイッチを入れたのだ。たいてい録画してあるものを見ながら作業するのだけれど、これまた偶然にも、ぴったりとその番組は始まった。

 入選、3位、2位、1位…と受賞順だったのか、本選の演奏順だったのか分からないけれど、4人の若いバイオリニストの演奏が始まった。(演奏中は順位は分からないようになっていた気がする。)2位をとった城戸かれんさんの演奏もダイナミックで素晴らしかったけれど、1位をとった山根一仁君が出てきたとたん、今までと空気が変わるのがテレビ越しからでも感じられるほどで、選曲も前の3人とはまるで違ったのだが、か細い身体のどこにそんなエネルギーが?と思うような演奏に、鳥肌の立つ思いで、作業の手を休め、アイロン台に寄りかかりながら、前のめりになってその映像を食い入るように見つめた。

 音楽にジャンルなんて関係ないなぁ…と思った瞬間。ただたまたま、バイオリンを手にしたのか、ギターを手にしたのか、それだけの差だ。この人の身体からほとばしり出るエネルギーの塊のような音、これと同じ種類のものを私は別の場所でも知っている。そんなことを思いながら彼の演奏を聞いていた。こんな演奏をする男の子はいったい、普段の中学校生活でどんな表情を見せているのだろう?きっと誰もが気になったことだろう。

 後のドキュメンタリー番組で素顔を見せた山根君は、どちらかというとほわ~んとした表情で、同級生達とサッカーをして遊んでいたり、女の子達から「いつもシャツがはみ出ている」なんて言われたりしていた。「普通にしていた方が、みんなも普通に接してくれるから。」という言葉が印象的。

 「早い曲が好きです。」と言い、「弾いていて、早い方が楽しい。」とも言っていた。本選で演奏するのに選んだ曲【ショスタコービッチ バイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77】について、静かな部分と刺々しい部分の対比を弾きわけたい…というようなことを言いつつ、「楽しんじゃいけない曲かもしれないけど、本番は楽しんで弾きたいです。」と言っていた。楽しんじゃいけない、というのは、明るく楽しいタイプの曲じゃないけど…っていう意味なのだろう。それでも演奏者はやっぱり、弾くこと自体が楽しいのだ。

 クラシックは上品でおとなしい曲ばかりじゃないってことは分かっていたけれど、このように激しい曲をコンクールの舞台に選ぶ彼のセンスも好きだと思った。演奏の早い段階で、彼はバイオリンの弓をぶちきった。ハラハラする。この人の演奏をもっと見たいな。そう思わせる存在感がすでにある。きっと客席や後ろのオーケストラの人の中にも、同じ思いでいた方も多いのではないだろうか?

 終ったらそのまま、バタン!と倒れちゃうんじゃないか?というような演奏をして、山根君は1位をとった。中学生としては26年ぶりのことだそうだ。そしてやはり、観客の投票で決まる聴衆賞もゲットした。私はすかさず友人に「すごい人を見たよ~!」とメール。こんなのを偶然に見られるなんて、今家にいなかったら見られなかったのだから、私って幸せだ。…とか思う。ドキュメント番組はその場で録画予約した。

 入賞者による全国ツアーというものもあるらしい。是非、山根君の演奏を生で聴きたい。(それともひょっとして、もう終っちゃったのかな?)日本音楽コンクールのサイトでも、過去の入賞者の演奏動画がアップされている。今回のものが早く聴けるようにならないかなと、楽しみに心待ちにしています。





バイオリン1位に中学3年生
アップロード者 samthavasa. - 音楽動画をHD画質でもっと見る!

こちらにも山根君の演奏動画がありました。第63回全日本学生音楽コンクール全国大会での演奏が紹介されています。


  

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