庭園訪問記:アカオ ハーブ&ローズガーデン④ ピンク系のバラⅠ(イングリッシュローズほか)

 5月24日に訪れたアカオ ハーブ&ローズガーデンの続きです。(はこちらです。)本日はピンク系のバラで香りの良い(強~中香)ものを、主にイングリッシュローズ(=デイヴィッド・オースチン・ロージズのモダンローズ)を中心にお送りいたします。(1)
 
The Generous Gardener (David Austin 2002, GB)
 
 それでは参りましょう。まずは、まるで果物の桃のような色合いの花を咲かせていた、ザ・ジェネラス・ガーデナー。イングリッシュローズガーデンの入り口にありました。デイヴィッド・オースチン・ロージズのカタログの紹介を読むと、オランダのコンテストでつるバラ部門の金賞を受賞しているそうですね。丈夫で扱いやすいのだそうですよん。(2)
 
Hero (David Austin 1982, GB)
 
お次はヒーローという名前のバラです。ギリシャ神話の『ヒーローとリアンダー』("Hero and Leander" 邦題「ヘーローとレアンドロス」)にちなんで名づけられた二対のバラのひとつだそうで、リアンダーという同年に作られたバラもあるそうです。
 
 ヒーローと聞くとかっこいいイメージを先に連想してしまったのですが、椿などにも似て見えて、なんとなく奥ゆかしい感じの形のバラですよね。それもそのはず、ここでの”ヒーロー”とは、英雄の意味ではないのです。ギリシャ神話の中ではへーローが女性でレアンドロスが男性なのだそうでう。神話を知ると、このバラのことをヒーローと英語読みで呼ぶよりも、邦題と同じにへーローと呼ぶほうが女性的な感じがしてしっくりくる気がするのは私だけでしょうか…?バラはこんな風に名づけの背景を知るのも面白いものです。(3)
 
Princess Anne (David Austin 2010, GB)
 
 プリンセス・アンという名前のこのバラは、エリザベス女王(エリザベス2世)の第一王女(アン王女)の名前を冠したものです。赤に近いくらいに濃いピンク色をしたたくさんの花びらの間から、ちらりとのぞく黄色のしべがかわいらしいです ^^ (4)
 
Princess Anne (David Austin 2010, GB)
 
 こちらのバラはちょっと面白い状態で咲いていました。上の写真で分かりますでしょうか?私達の膝丈よりも樹高が低く、そのまたさらに葉っぱの下に隠れるような具合に、直径8センチ近くはあるかと思われる見事な花が咲いていたのです。(5)
 
 もともとコンパクトに育つ品種のようですが、それでも比較的若い株だったのかもしれませんね ^^ なにしろ作出年は2010年ですし、2011年と2012年にはイギリスで賞も取っていという新しい品種のバラだそうです。鉢植えでの栽培にも適していると書かれていましたよ♪ (詳細はここ参照
 
William Morris (David Austin 1998, GB)
 
 イングリッシュローズガーデンのアーチに、真っ赤なテス・オブ・ダーバービルズと一緒に仕立てられていたのが、こちらのウィリアム・モリス。アプリコットに近いような淡いピンク色の花びらが、ロゼット咲きの花の中にびっしりと詰まっていて、その重なりで中央の色がわずかに濃く見えるのがかわいいです。これはすごくいい香りだったなぁという印象です。
 
 あ、名前は言わずと知れたイギリスのアート&クラフト運動の父、ウィリアム・モリスからです。(6)
 
James Galway (David Austin 2000, GB)
 
 ジェームズ・ギャルウェイは、著名なフルート奏者の還暦を祝って名づけられたバラだそうです。(日本ではフルート奏者の名前の表記はジェームズ・ゴールウェイとなっているようです。)
 
 花びらの数がこれまたすごいですね~。園芸ネットでは花弁140枚と紹介されていましたよ~(驚)。花も大きめ。とても個性的な咲き方のバラですね~。(7)
 
Blush Noisette (Philippe Noisette 1814-1817, USA)
 
 さて、しばしイングリッシュローズから離れます。こちらはブラッシュ・ノアゼットという小さめの花を咲かせる淡いピンク色のバラ。ノワゼット系のバラの元となったバラだということです。(8)
 
 ル・ドゥーテの『バラ図譜』にも、Rosa noisettiana(1821) として描かれており、わが家にある普及版では、図版93番としてと、カバーの背表紙に掲載されています。現在ではオールドローズと呼ばれるこのバラも、ル・ドゥーテの時代には、当時の”現代バラ”として描かれたのだと解説には書かれていて、その辺りも大変面白いなと思いました。生い立ちがけっこうはっきりとしているバラのようなので、それを下記で少しだけ見てみましょう。
 
 さて、ブラッシュ・ノアゼットの親となったバラは、シャンプニーズ・ピンク・クラスター(Champney's Pink Cluster)というバラで、これは1802年のアメリカでジョン・シャンプニーという人が、オールド・ブラッシュ(Rosa chinensis 'Old Blush' / 'Parson's Pink China')とムスクローズ(Rosa moschata)を交配して作ったものだそうです。
 
 ジョン・シャンプニーにオールド・ブラッシュをもたらした人というのが、ブラッシュ・ノワゼットの作出者として名を刻むフィリップ・ノワゼット(Philippe Noisette)というフランス人です。フィリップ・ノワゼットがジョン・シャンプニーからシャンプニーズ・ピンク・クラスターの種を貰い受け、それを蒔いたものがブラッシュ・ノアゼットとなったのだそうです。実生のバラというわけですね。
 
 フィリップ・ノワゼットが種を蒔いて作ったブラッシュ・ノアゼットが、ヨーロッパへと旅立ったのは1814年。この年にフランスにいる兄弟のもとへと送られたのだそうです。当時の輸送はどのくらいの期間がかかったのでしょうね?なんともまぁ、ひとつのバラにも壮大なストーリーがあるものだと驚き、ちょっと浪漫を感じるお話でした。 (*1)
 
 ちなみにブラッシュ・ノワゼットの祖先とも言えるオールド・ブラッシュですが、こちらは中国の四季咲きのバラです。これがプランツハンターの手によってヨーロッパへもたらされたのは18世紀末のことだそうで、それにより西洋のバラにも、初めて四季咲き品種が登場するようになったのだそうです。オールド・ブラッシュの学名はRosa chinensis(ロサ・キネンシス)ですが、こちらは和名をコウシンバラといい、日本にはなんと室町時代からあったのだそうですよ。中国では10世紀頃から存在すると考えられているそうです。(*2)
 
Eglantyne (David Austin 1994, GB)
 
 再びイングリッシュローズに戻りまして、白いジギタリスのそばで咲いていたエグランタインです。白とピンクのコントラストがきれいです。花びらの開き方も素敵ですね~ ^^ エグランタインというのは、セーブ・ザ・チルドレン基金を第一次世界大戦中に創設した、エグランタイン・ジェブ女史の名前だそうです。(9)
 
 また、このバラはオースチン社のカタログの日本語版には”エグランタイン(マサコ)”とも書かれており、雅子様に贈られたバラでもあるのだそうです。ちょうどご成婚の翌年のバラなんですね ^^ ちなみに雅子様のお印は、日本に自生する原種のバラのハマナス(Rosa rugosa)なのだそうです。
 
Strawberry Hill (Davis Austin 2006, GB)
 
 本日の最後はストロベリー・ヒル。バラアイスを食べた白いパラソルの近くに咲いていましたよ~。アイスを食べた後、忘れないように写真を撮りました。(10)
 
Strawberry Hill (Davis Austin 2006, GB)
 
 ストロベリー・ヒルという名前は建築物からつけられたそうで、ロンドンのヒースロー空港近くのトゥイケンナム(Twichenham)というところにある、18世紀のゴシック建築なのだそうです。ウォータールー駅から鉄道でも行くことができるそうで、ストロベリー・ヒル駅というのもあるそうですよ。
 
 建物を建てたのはイギリスの初代首相の息子だそうで、ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)という人です。建物の写真を見ると、真っ白で素敵なお城といった風情です。庭園もあるそうなので、そこでもきっとこのバラを見ることができるのではないでしょうか。ストロベリー・ヒルの公式サイト(英文)はこちらです。
 
 今回バラの香りをたくさん楽しみましたが、フルーツ香というのがよく分かった気がしました。ほんとにレモンに似た香りのするものもあり、ストロベリー・ヒルもカタログではそのように香りの表現がなされています。(11)
 
 それでは、次回は同じくピンク系の香りの良いバラを、フランスのものを中心にお送りいたします。どうぞお楽しみに~♪
 
 
 
 (*1) Daphne Filiberti さんという方のRosegathering というサイトのNoisette Rosesのページを参考にしています。詳しく読みたい方はリンク先をご参照ください(英文)
(*2) 『日本のバラ』(写真:松本路子、監修・文:大場秀章)淡交社刊 70~73ページより
 
*(1)(4) のみもーりーの撮った写真で、残りはすべて私が撮りました。(D3100+40mmマクロ)
 
  

コメント

アン さんの投稿…
Sanaeさん、こんばんは~☆
赤い部門では(クスッ)色の多さに驚かされましたが、
ピンクも同じなんですね。
そして全体的にピンクは花びらが多い!!! 
お花だけ見れば、牡丹って感じのもあるんですね。

お世話が大変ですが、花々に囲まれた生活って憧れますね。
Sana さんの投稿…
★アンさん、こんばんは!
ピンクも色の幅に驚かされますよね~。
咲き始めから咲き終わりまでで濃さの変化するものもありますし
見に行く時期でも違った印象になるのかもしれません。
花びらの多い大きな花を細い枝で支えていたりすると
なんとも言えない可憐さを感じますよね^^

暑い中、黙々と作業をしてらっしゃる
係りの方々の姿も見えましたよ~。
おかげでこんなに楽しませていただけて感謝です♪

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