モノクロ暗室にて(12)北鎌倉・円覚寺

水路脇の石垣に生えていたイワタバコ
北鎌倉・円覚寺にて
 
11月1日(土)はJCIIの暗室の日でした。先生はいつもどおり、写真家の池本さやか先生です。10月は1回も参加しなかったので、9月の終わりからちょうど1ヶ月ぶりでした。この日の参加者は4人。全員リピーターさんでしたので、ブースもそれぞれお気に入りの場所を使い、準備もスムーズでした。
 
私はこの日、6月にライカIIIaで撮った北鎌倉のネガを2本持って行きました。コンタクトシートは前々回に作っていたので、それも一緒に持って行きました。しかし結局のところ、円覚寺で撮影した1本分のシートから順番にプリントをし、もう1本分のものはまた次回・・・ということになりました。
 
どんどん先に進みたい気持ちもありますが、でも1本分のネガからたくさんプリントしたいものがあるというのは、それだけ撮影の出来がよかったということなので、こういうのはなかなか喜ばしいことです。しかも、露出計のない状態で撮影したものだったので、それが大きく破綻していないと分かり、とても嬉しくなりました。(露出計を使わない撮影の目安は、長徳先生の本でお勉強しました。)
 
最初の1枚の写真はイワタバコという植物のものです。実際には紫色をした、かわいらしいお花。ずっと見てみたかった植物なので、円覚寺でたくさん見られて嬉しかったです。しかし・・・構図はのっけから先生に注意されてしまいました(^^; もう少し右に寄せたかったよね?中央がポーンと開いちゃってるじゃ~ん!と。
 
ハイ、ワタクシもそう思います・・・。この時は隣によその人がいたんだよね~・・・なんていうのは言い訳で、こういうのはいい場所があくまででもじっくり待たなきゃダメですねぇ・・・。まったく、今回も撮影時の反省からスタートです。。。


練習後の清掃も終わり、シーンと静かな弓道場
 
この日は、プリント作業に入る前に1階のJCIIフォトサロンで開催されていた森山大道さんの『遠野物語』を見ました。その影響もあってか、さやか先生のご指導も陰の部分をいつも以上にぐっと落とすような感じで、「ギリギリまで黒を落として、かすかにディテールが出るってくらいにすると、明るい部分に視線が自然に誘導されて、より日本家屋の幻想的な雰囲気が出るよね」なんて話をしたりして、今までより一歩踏み込んだプリント作業をしている気分にもなり、とても面白かったです。


お茶席への入り口
一輪挿しに活けられていたのはドクダミの花
  
とは言うものの、毎度のことながら焼きこみの秒数などは先生に指示されたとおりにやっているだけ・・・。だんだん焼きこんだほうがいい場所は自分でも分かってきたのですが、ベースのプリントからどのくらいプラスすればいいのか・・・ということを割り出すのはまだ先生まかせです ^^;
 
なので、「おぉ~!上手に出来ましたね~!!」と先生におっしゃっていただいても、「わ~い!嬉しい~♪ でも、先生がおっしゃったとおりにやってるだけですよ~^^;」と(苦笑)。
 
それでもさやか先生は、「私が全然お手伝いしなくてもちゃんと仕上げてきているんだから、それはちゃんと出来てるってことですよ!」と言ってくださるので、本当にとても嬉しいです。

颯爽と門をくぐるお寺の方
 
それから、古いライカで撮ったもの・・・というのも、プリントしていて気分的に楽しかったことのひとつかもしれません。一眼レフみたいに構図や絞りをこまかく考えて撮るというよりも、どちらかというとコンデジの気軽さに近い直感的な撮り方でどんどん撮った1本で、とくにこの写真などは、「禅」という文字の入ったTシャツを着てお寺の方が歩いてきたのを見て、とっさにシャッターを切った1枚です。
 
先生曰く、「こういう風に人物が入り込んで来るって言うのも、運の良さを現していますね~」と。そ、、、そうかな?!嬉しい ♪(笑)

素朴な木彫の仏像さまがお二人並んでいるお庭
 
同じ被写体を何コマか撮っている場合は、コンタクトシートを先生に見てもらいながら、どちらをプリントするのが良いか相談したりもします。数コマ撮っている時は、たいていは段階露光の目的で撮るのですが、なかには構図も少し変わっている場合もあり、この木彫の写真もそうでした。1枚はもう少し寄って撮っており、こちらは少し引き気味に・・・。
 
先生に見ていただくと、「視線を誘導する意味でも、引き気味の写真で石の台座がよく見えているものの方が良いのでは?」というご意見だったので、なるほど~と思い、そちらをプリントしてみました。
 
また、今回はこの写真のみ木彫部分に覆い焼きをしました。例のごとく焼き込みよりも覆い焼きの方が手こずって・・・これだけ4枚もプリントをしてしまいました。

鬱蒼とした中にひっそりとある睡蓮鉢
もうすぐ咲きそうな蕾をつけています
 
それから、いつもスゴイな~と思うのは、先生の写真を見る目の細かさです。こちらの水鉢のテストピースを作っている時のこと。さやか先生から、「ねぇねぇ、睡蓮ってこういうところで咲くの?こういうのって、お水このままで汚れないのかな~?取り替えなくていいの?」と聞かれました。それに対して何気なく私が「う~ん?メダカを入れておくと水が汚れないって聞きますよね~・・・」とお応えすると・・・
 
「あ、本当だ!メダカいるね!!」
 
えええ?!本当?!
 
撮影者であるはずの私も気がつかなかったのに、先生はテストピースに写っている水鉢の中に、小さな1匹のメダカの姿を見つけてくれました(驚)!そして私は心の中で、80年も昔のレンズの写りの良さに、秘かに舌を巻いていたのでした。すごい・・・こんなちっちゃなメダカまで写っているなんて・・・!

弓道場とひとつながりのお堂
強い夏の日差しの下でも、中はとても涼しそう
 
残り時間30分。久しぶりの暗室作業でけっこうへとへとになりながら、最後は、さやか先生が何度も「これプリントするといいんじゃないですかね~」と言ってくださっていたものをやりました。建物の部分と木々の葉の部分で、露出が大幅に違っている1枚です。
 
いや~、これは正直、自分だけでは絶対にプリントできなかったです~(苦笑)。そして、すご~く勉強になった1枚でした。
 
2のフィルターを使ってコントラストを調整しながら、画面中央の暗く落ち込んだ部分は2秒半の露光、そして木々の葉の部分と屋根の部分は合計で12.5秒の露光という具合です。3枚目で完成したのですが、2枚目の時は上部は9秒でした。ベースの2.5秒から、どうやってハイライト部分の露光時間にそれだけ思い切った長さを割り出すのか分からず、完成後に先生に質問してみました。すると・・・
 
「明暗差のある場合は、その両方でそれぞれテストピースを作ってもいいのだけど、今回は最初のテストピースに明るい部分と暗い部分がちょうど入っていたから、もう一度それを見て決めたんですよ。テストピースの8秒のところで、建物の部分は真っ黒だったけど、葉の部分はまだもう少し足りないかな~って感じだったでしょ?」
 
あ~・・・そうか~・・・。目からウロコが落ちましたよ~。テストピースって、ベースの露光時間を見るだけじゃないんですね。ベースの秒数が決まったら、テストピースのことなんてすっかり忘れてしまっていました。つまり、2、4、8秒と段階露光しているのに、ベースの部分で選ばなかった秒数のところなんて、その後、今まで全然見てなかった!でも、この質問のおかげで、なんだかまた1歩、奥に進めたような気がしました。
 
やっぱり先生がプリントしてごらん~っていうコマは、なんらかの意味がちゃんとあるものなのですね~。うーん、すごい。
 
それに、コンタクトシートを見た限りでは真っ白に白飛びしていた屋根の部分も、9秒ではまだまだ白いままだったのに、12.5秒まで焼きこんだ時、ちゃんと瓦のディテールが浮かび上がってきて感動しました。ネガは露出アンダーはダメだけど、オーバー気味でもちゃんとデーターが入っているっていうの、本当なんだな~と実感。
 
自分の写真がなんなのか?っていうのはまだまだ全然分からないけど、やればやるほど面白いっていうことだけ、毎回じわじわ感じている暗室作業なのでありました。そして今回初めて、ライカで撮ったものを続けてプリントしましたが(以前1枚だけプリントしたことはあるけど)、これをしてようやく本当に、「私このカメラものすごく好きだ!」と心の底から思ったのでありました。なんというか、使う照れくささや恥ずかしさが消えた(笑)。もっと堂々と使おうと思います。
 
 
All Photo and Printed by Sanae Moriyama
(Leica IIIa, Leitz Elmar 5cm F3.5)
 
 

コメント

人気の投稿