CDで落語を聴くのも乙なもの


月曜日の午後、NHK Eテレの『日本の話芸』(http://www4.nhk.or.jp/P659/)という番組で、桂文楽さんの『鰻の幇間(うなぎのたいこ)』を見ました。

翌朝もーりーさんに、「昨日こういう落語をテレビで見たよ」と言いながら、ところどころ真似して説明していると、どうもこのお話、ほかでも聞いたことがあるような気がしてきました。

それで、その日の午後に手持ちのCDを探してみると・・・やっぱり!数年前に中古で手に入れた古今亭志ん生さんの名演集(四)というのに、『うなぎの幇間』は入っていました。昭和31年7月の録音。うなぎというからには、土用の丑の日もありますし、夏に好まれる演目のひとつなのかもしれませんね。江戸の古典落語だそうです。

ところで、この演題に出てくる幇間(たいこ)という言葉、これは「たいこもち」のことだそうで、いわゆる”おべっか”、”ごますり”、”ヨイショ” など、相手を持ち上げる人のこと。「ほうかん」という読みで広辞苑に出ておりまして、そこでは男芸者と書かれておりました。つまり昔は、たいこもちを「商売(職業)」にしていた人がいたというわけ。

もっと面白いのは、それをべつに「商売」にしているわけでもない・・・という人のことを、「野だいこ」と言うそうで、プロ、アマの区別がされている(?)らしいのです。ちなみに「野だいこ」と検索すると夏目漱石の「坊ちゃん」についての検索結果がいっぱい出てきますから、きっと明治頃には普通に使われていた言葉なのでしょうね。

では、その野だいこが出てくる『うなぎの幇間』とはいったいどんな話かと申しますと。まぁ、それをここで書いちゃうとこれから聞こうとする人にとっては面白くないかもしれませんけれども、早い話が、野だいこである一八(いっぱち)が、名前も知らないある人物に取り入ってうなぎをご馳走になろうとしたところ、なんとその相手に一杯食わされてしまう・・・というお話。落語の中では野だいこというと、名前は決まって一八なんだそうな。

で、たいこもちというのは相手が黒といったら黒・・・というおべっか使いなわけですが、この話は後半、自分が騙されたと分かってからが面白い。今まで黒といったら黒と言っていたものを、まるでオセロの駒をひっくり返すかのように、さっき言ってたことをことごとく覆し始めます。

「冗談じゃないよ、えぇ?それじゃオレが手銭で払うけどよ。払やいいんじゃないか。」と言いながらもグチグチグチグチ。全~部、負け惜しみの愚痴ばっかり。しかもうなぎ屋の女中さんにヤツ当たりまでしちゃう。ここら辺りのデフォルメが、いかにも江戸っ子の皮肉たっぷりなヤセ我慢ぶりを表しているようで、なんとも可笑しいのです。

と言いつつ、お江戸の言葉だとついつい身近すぎて、グチグチ言っているそのリアルさにちょっと笑えないよなぁ・・・なんて気分にも正直なるんですけども・・・こちらがあらかたウンザリし始めた頃に、「ぐずぐず言うなっつったって、払うには払うんだ。いくらだい?」とくる。なかなかいいタイミングです。

さて、そこからさらにこの一八は泣きっ面に蜂ってな目にあうのですが、その先とサゲは実際に聞いからのお楽しみということで伏せておきましょう。

このCD、すっかり持っていることさえ忘れてしまっていたのですが、久しぶりに聞いたらとても面白かったです。これには『うなぎの幇間』のほかに、『替り目』と『佃祭り』の2本が収録されています。『替り目』は短い話ですが、酔っ払って帰ってきた旦那と、そのおかみさんのやり取りが面白く、私はこれが大好きです。

テレビや映像だとじっと座って聞き入ってしまいますが、CDだとほかの事をやりながらでも聴けるのがいいものだな~と思います。


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