かわいらしい『季寄せ』

山本健吉編 季寄せ 文藝春秋

何年か前から『NHK俳句』と、同じくNHKの『俳句さく咲く!』を録画予約して毎週見ています。ただ単に面白いな~と思って見ているだけで、自分で俳句を作る・・・というところまではいっていませんし、過去現在の有名俳人の句集のようなものも読んでおらず、接点はずっと、先に挙げた2本のテレビ番組と関連の特番のみ・・・という興味。もっぱらアイロンがけの時に見ているので、『NHK俳句』のテキストすら買ったこともありません。

だけれども何年も見続けているとさすがに、どうやら俳句を作ってみようと思うのならば、まずは歳時記なるものを手に入れたほうが良さそうだ・・・ということが分かってきます。それで、歳時記をいつか買おう買おうと思いながらも、書店へ行けば別な興味に心を奪われて忘れてしまい、今の今まで買わずじまい。

それが先日とうとう、橋本のArioというショッピングモールにあるアカデミアという本屋さんで、やっと思い出したのです。「そうだ、俳句のコーナーを見てみたいと思っていたんだった」って。アカデミアはくまざわ書店さんの充実版店舗という感じで、お気に入りの書店のひとつです。俳句のコーナーにもけっこうたくさんの本が並んでいました。

さて、俳句のコーナーに行きさえすれば、迷うことなく歳時記が買えると思っていた私。ところが・・・それがそうでもありません。歳時記と並んで季寄せというものもたくさんあるけれど、これって別のものなの?

中身を見てみると、歳時記も季寄せも季語の解説と俳句の例が併録されています。歳時記はけっこう大判だったり分厚かったり、季節ごとに1冊なんて作りになっているものが多かったのだけれども、季寄せと書かれたものは小型のものが多く、四季を通じて1冊にまとめられていてもお値段も手頃なものがありそうでした。

なかでも、『山本健吉編 季寄せ 文藝春秋』と書かれた箱入りものに目が吸い寄せられました。そっと手に取り箱を開けてみると、布に金文字の装丁もとっても素敵。春夏、秋冬新年の上下巻の2冊が入って2千円と、お値段もかなり魅力的です。

しかしながら、歳時記を買いたいと思っている超初心者が、季寄せなるものを買うのは適当なのか?という疑問もわき、下巻に記されたあとがきをその場でざっと読んでみました。季寄せとはいったいどういうものなのか?

 一昨年から昨年にかけて、『最新俳句歳時記』全五冊を出した。幸いに好評を得て、版を重ねているが、五冊本歳時記では実用的でないから、縮小した季寄せの編纂刊行を求める声があり、書肆の要望もあって、暇を見て作ってみたのが本書である。  
 これは使用者の便宜をはかったものだから、あまり大冊であってはならず、手軽に旅行にも吟行にも持参できるものでなければならない。いわゆる袖珍本である。歳時記と季寄せとには、このような書物の大きさもさることながら、おのずから内容の精疎の違いがある。季寄せとは要するに季語の寄せ集めであって、原則として季語について説明を含まない。だが今日行われている季寄せの類は、簡単な季語の解説と少数の例句とを含むのが普通なので、本書もその通例に従った。(以下、略) 
引用: あとがき (山本健吉編 季寄せ 文藝春秋) 

また、上下巻のそれぞれ冒頭には「編纂の方針」という章があてられており、次のように書かれています。

一、四季各部は、従来の時候・天文・地理・人事・宗教・動物・植物という分類法、あるいはそれに類似の分類法を廃し、三月にわたるものと初・仲・晩との四部門に分けた。ただし、二月にわたるものは、それぞれの場合の判断に従った。(以下、略)  
引用: 編纂の方針 (山本健吉編 季寄せ 文藝春秋) 

この本の初版は昭和48年7月とあり、私が生まれて半年ほどに出版されたもののようでした。版形も同じかどうかは分かりませんが、目の前にあるこの本のサイズはちょうど文庫本と同じで、柔らかい表紙の手になじむ横型。栞紐もついています。

写真やイラストの類は一切なく、すべて文字で書かれたものですから、読んでも想像のつかないものもそのうち出てくるのではないかな~と思いますが、初めて見る言葉、初めて知る漢字表記なども多々あり、とてもとても面白いです。

俳句には五・七・五という定形以外にも細かなルールがありそうなので、季寄せを手にしただけではまだ簡単に一句とはいきませんが、とりあえずは初めの一歩。次は何か面白そうな入門書でも探してみようかと思います。

この季寄せと一緒に、岩波書店から出ている東京やなぎ句会の本も一冊買いました。そちらもとても良かったです。


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