妄想家庭料理:あぶたま(林家正蔵『高座舌鼓』を読んで)
NHKに『妄想ニホン料理』というのがあって、いくつかのキーワードを頼りに外国の人々にお題となる日本料理を作ってもらうという番組なのだけれども、本日はそれのパクリで、その名も『妄想家庭料理』というのをやってみます。
お題は「あぶたま」。これは林家正蔵さんの『高座舌鼓』(中央公論新社)というエッセーに登場する一品。正蔵家の定番料理のひとつだそうです。
本文からキーワードを拾ってみますと・・・
- 油揚げをやや大振りに切る
- 醤油と砂糖で味付け
- 卵とじ
- ほうれん草の湯がいたものを短めに切って入れる
- 炊きたてのごはんにかける
こんな感じで作りました。
- 油揚げを太めの拍子木に切る
- 小さめのフライパンに出汁を少しはって、その中に1の油揚げと湯がいたほうれん草を入れる
- 酒、味醂、砂糖、醤油で味つけする(醤油は濃口にしました)
- 卵でとじる
- ごはんの上に盛り付けて出来上がり
ところが、食べ終わってからもう一度本を見てビックリ。巻末に収録された川本三郎さんとの対談ページに、この「あぶたま」についての更なるヒントがあったのです。曰く
「あぶたま」はうちのおふくろの十八番のおかずです!親子丼の鶏の代わりに油揚げを使うと思えばわかりやすい。三角に切った油揚げをバババンと鍋に入れて、出汁なんか入れず醤油と砂糖でワァーっと煮詰めて、そこに玉子を溶いてザーっとかける。それを炊きたてのご飯でいただくんです。
(高座舌鼓/林家正蔵・著 中央公論新社 P223から引用)
あれま!油揚げは三角だったのか~。それに!やっぱり出汁も使わないんだ~。 江戸っ子風に甘辛だろうと思ったので私も醤油は薄口じゃなくて濃口にしてみたんだけど、出汁もいらないなんてかなりシンプル。ちなみに、私はお昼に食べたのでほうじ茶を添えましたが、引用文の続きには、「日本酒にも合います」と続けられております。
『高座舌鼓』には他にも気になる食べ物がいろいろ登場するので、また機会があったら妄想料理してみたいと思います。
あぶたま、美味しかったです。
コメント
甘い汁を吸った油揚げと卵がとても合います。
ちょっと似てるのかも。
数日後に、醤油と砂糖だけで味付けしたバージョンも作って食べてみました。
たしかにスキヤキの味に似てるかも!
油揚げも三角にしました。美味しかったです。