公開講座受講記(4)'sugar'と「サトウ」はどうちがう


2月25日(木)の午後は、茗荷谷へ日本語と英語の名詞に関する”発想の”比較のお話を聞きに行ってきました。この手の話題に興味のあります方は、「続きを読む」よりどうぞご覧下さい。



理系の先生の語学講座


2月は合計で3回も放送大学の公開講座にお邪魔してきました。いずれも一般参加OKの、無料の公開講座です。この日は文京学習センターで行われました。平日の午後でも満席で、男女比も年齢も、見たところあまり偏りはないような感じでした。

この日の先生は、『言葉と発想』という科目の伊藤笏康(しゃっこう)先生でした。もともとは理系ご出身だそうで、次第に英語や言語学もやるようになったとのこと。今回の講義は『'sugar'と「サトウ」はどうちがう』というタイトルも面白く、普通イメージするような語学の授業とはちょっと一味違うようです。難しい話なんだろうか・・・。

・・・と思っておりましたら、先生ご登場後に開口一番、「今日はsugarって書いちゃったんですけど、sugar はちょっとしか出てきません。wood でやります」、と。これでみんなけっこうワッと笑って、私もかなりリラックスしました。続いて、先生がこの講義でテーマに取り上げた英語の名詞の日本語との違いに気づいたきっかけは映画だったのだというお話に突入。

映画『エレファント・マン』で、冠詞の謎に出会う?


みなさま、エレファント・マンはご覧になっておりますでしょうか。ワタクシ、映画は存じておりますけれども、正直に申し上げまして一度も見ておりません。でも、まぁ、有名な映画ですので、なんとなくのあらすじは分かります。

先生はリアルタイムでその映画をご覧になられたそうで、その中の主人公が発した I am not an animal. I am A human being. という台詞を聞いて、冠詞の 'a' が表現するところの、この強調っていったいどういうこと?と疑問がわきはじめたのだそうです。

で、この話題からまず冠詞(主に不定冠詞 'a' )の話が始まり、さらには、英語の名詞(普通名詞)というのは、ひとつの単語の前後に何もつけないそのままの姿では、会話や文の中には出てこない・・・というお話が続きました。

「ネコ」は個体を指し示せるが、'cat' は cat集合としての概念しか表せない


次に、「ネコ」cat という名詞で、より詳しく日本語と英語の発想の違いを見ていきました。日本語で「ネコ」という言葉を使う時、私達はその猫が誰の猫でも、何匹でも、どんな猫でも、同様に「ネコ」という名詞をそのまま使うことができます。

どころが、英語の場合、冠詞などの限定詞をつけないただの'cat' というのは何を表すのかと言えば、誰のでもなく、何匹かも分からず、どんな色なんてことも分からないけれども、ただ四本足でフサフサした目が大きく等々の、「猫」という存在の概念だけを表しているのだと・・・。だから、a とか、my とか、your とか、cat の前後に必ず何かつけないと、どんな個体を指すのか相手に伝えられない…というわけです。

たしかにそうですよねぇ。

で、その説明のときに、集合とか要素なんて言葉が出てきたのがすごく面白かったです。突然、わ~、数学になった!と(笑)。ある特定の個体を表すためには、cat 概念という全体の集合から構成要素の個体をひとつを取り出して、それがどのような種類の個体であるのかを、何らかの限定詞をつけて説明せねばならぬ!というわけなんです。表と図も出てきました。

そして冒頭に出てきたエレファントマンの A (a) は、「~というもの」という、種類を表す強調表現としての A (a) なのだとか。

物質名詞:sugar や wood にゃ、a は付かぬ


さて、では英語の名詞には全部 a などの限定詞をつけておけばOKなのかというと、これまたそうでもないわけで。数えられない名詞なんてのがありますもんね。水、コーヒー、ワイン、あたりを私はまず思い浮かべましたけれども、ここでは物質名詞ということで、sugarwood が登場しました。

かつて先生は、何人もの英語のネイティヴスピーカーに、wood っていったい何?と質問したのだそうですが、そうしたら、ほとんどの人はどうもなんとも答えられなくて、たった一人だけ、「木目が無限に広がるイメージ」と答えたのだそうです。これも面白いですよね。

そうすると、今度はこれには形や量や、単位を与えてあげないとならない・・・と。wood 集合からは、目で見て手で触れるものになるように、形でもって切り出すことが必要ですよというわけです。a piece of wood とか a block of wood とか。wine なら、a bottle of wine とか、a glass of wine とか。

こういうのって、「こうなんですよ」という具合には中学校の時にもちろんすぐ習いますけども、じゃあ、それがいったいなぜそうなんだ?って話になると、この講義のような機会がなければ、もしかしたらずーっと考えないままかもしれません。それを細かくこんな風に分解して見ていくと、とても面白いものですね。

最後は食材に対するイメージのお話もあったのですけれど、それはここでは省きます。本当に時間内に終わるんだろうか?と心配になるような、白熱教室でしたよ~。それをぴったり時間に終えちゃうのですから、先生ってすごいものですね。今回も笑いと拍手喝采の中で講義は終了しました。

出口のところには『言葉と発想』の教科書見本も置かれていましたので、少しパラパラとめくってみました。今聞いた話も授業で取り上げられているようです。ラジオ科目だそうなので、そのうち聞いてみたいと思います。

とても面白かったです。



コメント

LiLAっくま さんのコメント…
数えられるもの,数えられないものってのは,未だに悩みます.
wineもaは付かないんですが,レストランで注文するときは
Can I have a red wine?
でOK.ホントはグラス一杯っていう意味なんですけどね.
Sanae さんの投稿…
★LiLAっくまさん、こんばんは~。
オーダーの時などはあまり厳密に言わなくてもOKなんですかねぇ。イタリア語を習っていた時の先生(イタリア人)は、イギリスで英語を学んだそうで、習ったままニューヨークのコーヒースタンドでMay I have a cup of coffee? とやったら、「コラ!おめぇ、おちょくってんのか?レギュラー・プリーズって言いやがれ!」と、キレられたらことがあるそうです(笑)。ちなみにずっとストレートだとは思われなかったとも言ってました(笑)。難しいですね~(^-^;

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