『「坊ちゃん」とその時代』展@近代科学資料館(東京理科大学)


6月25日(土)に、飯田橋にある近代科学資料館へ出かけてきました。こちらは東京理科大学の神楽坂キャンパスにある施設です。入場料は無料。常設展のほか、今年の夏は夏目漱石にまつわる特別展が開催されています。

中は撮影禁止でしたが、見学記をお読になりたい方は「続きを読む」からどうぞ。

資料館のオフィシャルサイトはこちらです → http://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/index.html



入口に受付があり、カウンターには理科大の学生さんがおられました。見学したい旨を伝え、名前を記入し、パンフレットをいただきました。1階が常設展、2階が特別展と、分かれて展示が行われています。(地階は数学体験館です。見学記はこちら → https://dolcevita-sana.blogspot.jp/2016/06/2-2.html

1階にはずらりと計算機コレクションが並んでいて圧巻です。ひと口に計算機といっても本当にさまざま!大昔の藁で作られたような道具から算木というようなものや、日本でおなじみのそろばんなどもあり、はたまたパスカルやライプニッツの作った計算機の複製なども展示されていました。日常で目にする現在の電卓が、いかに小型化されたものなのかあらためてよく分かりました。「機械」というのと、「電子なになに」というのがいかに違うか…というのも、まずその大きさから実感できた気がします。

さらに、ど~んと畳何畳か分くらいも大きな、微分解析機というものも展示されていました。動く様子はモニターに映し出されていましたよ。それも計算機だというから驚きます。モニターを見ていると、なにやら波線のグラフのようなものをこの巨大なもので描きだすようでした。「計算」の内容もいろいろですね~。

他には懐かしの電蓄やテープレコーダー、各時代のコンピューターやゲーム機などなど。エジソンの電球もあって、点灯させることもできましたよ~。素敵な色合いでした。

それから、調整中となっていて実演は見られずに残念だったのですが、ただいま放送大学で履修中の『自然科学はじめの一歩』の放送授業で出てくる、クルックス管の実物も展示されていました。電子の動きが見られるというものです。放送授業の映像では、クルックス管に磁石を近づけて電子を動かすというのをやっていました。お試しで勝手に見ている『分子分光学』の放送授業にも、同じ実験が登場していましたよ~。基本の実験なのですね、きっと。

2階では、東京物理学校と東京理科大学にまつわる歴史資料の展示や、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村博士に関する展示がありました。(大村博士は理科大の大学院のご出身だそうです。)

古い資料の中には、日本で最初にアインシュタインの相対性理論を紹介した記事というのもありましたよ~。そこでは、現在「相対」と書かれている部分が「相待」と記されていました。

ボタンを押すと校歌の流れるコーナーもありましたよ♪


2階では『「坊ちゃん」とその時代』展が開催されていました。

夏目漱石は、一説では英語の教師や小説家などではなく、科学分野に進みたかったとも言われているようですよね。(図書館で『漱石が見た物理学』という本を立ち読みしたときにそんなようなことが書いてあった記憶が…。あらためて読んでみようと思って、ただいま予約中です。楽しみ。)

教え子の中には物理学者の寺田寅彦などもおりますし、小説の中にもいろいろと科学ネタが出てきているようです。(寺田寅彦は東京物理学校の創設者のひとりだそうです。)

しかも、『坊ちゃん』って、理科大(旧東京物理学校)の卒業生という設定なんだそうな。それでこの展示がここで開かれているというわけです。展示の中では、小説の中の坊ちゃんの成績を実際の理科大のものと比較して、坊ちゃんがどのくらいの優秀さの学生だったかを調べているのも面白かったです。そうだったのか~と驚きつつ、帰宅後さっそく青空文庫で読み返してしまいました。豪快痛快で面白い!だけどなんとな~く、ほろ苦さも残る作品ですね。

『坊ちゃん』を読んだのって小~中学生の時ですから、中身はもうすっかり忘れちゃってました。数学の先生だったのですね~。大人になってから読み返した方が、何倍も楽しめたように思います。短いお話なのであっという間に読めるのもいいところ ♪ しかしこんなにまっすぐな人は、今の日本にいるでしょうか?まさに、損して「徳」とれ、ですね。

この展示では、他にも面白い発見がいっぱいありました。

『吾輩は猫である』には「首つりの力学」ってなけったいなもんが話題になっている場面があると知り確かめてみると、ありましたよ~。迷亭さんとクシャミ先生の会話の中に!寒月さんが理学協会で演説するので、その練習にクシャミ先生の家に来るという設定。そこで迷亭氏曰く、「首縊りの力学(傍点あり)と云う脱俗超凡な演題なのだから傾聴する価値があるさ」ですって…(笑)

また、未完の『明暗』という作品の中で、ポアンカレの偶然についての説が書かれていると、展示で紹介されていました。曰く、偶然というのは本当は仕組みがあるのだけれど、それは非常に複雑で人間には理解できないので偶然というのだ…云々。(だいたいこんな感じのことが書いてあったような…。)ふむふむ、なるほど。これも読んでみたくなりますね。

それらの著作の初版本(たぶん)も展示されており、昔の本の美しい装丁を間近で見ることができ、とても良かったです。


特別展の会場には熊本地震の被災地への募金コーナーも用意されていました。

漱石は熊本に何年か教師として暮らしていたそうで、今年は本当なら熊本では、漱石の来熊120年記念イベントを開催する予定だったのだそうです。開催の本当に直前の震災…。用意したグッズやのぼり旗も現地では使えなくなってしまったそうで、それらの一部が理科大の資料館での特別展に預けられていたようです。

わずかばかりですが募金箱に募金をし、熊本のみなさんが用意していた漱石グッズをひとついただいてきました。漱石先生の口ひげをつけた猫ちゃんピンバッチ。

このグッズ、もともとはノベルティとして配布目的で作られたそうなのですが、もしたくさんあるのなら、どこかが引き取って販売したりして、売上金を支援に回せればいいのにな~などと思いました。だって、とってもかわいいですものね。欲しい人、いっぱいいるのではないでしょうか。もっとも、近代科学資料館で預かっているグッズには、数に限りがあるとのこと。

熊本市文化振興課のサイトを拝見すると、夏目漱石大江旧居というのは現在も公開されているそうです。



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