面接授業受講記:加速器質量分析入門(松崎浩之先生)後半@東京大学タンデム加速器研究施設

東大タンデム加速器研究施設への入口
根津駅から言問通りを少し行くとある

7月8日と15日の土曜日は午後14時から、放送大学の面接授業に行ってきました。全四回の『加速器質量分析入門』という授業で、講師は東京大学の松崎浩之先生です。前半の二日間は文京学習センターの講義室での座学でしたが、後半は体験実習で、東京大学のタンデム加速器研究施設にお邪魔しました。


「自転車がたくさん停めてあるところから入ってください」と事前アナウンスのあった通りに、鬱蒼とした道を進んで行くと、そろそろ不安になるころに石造りの門が見えました。そしてそこには、『ようこそ、放送大学「加速器質量分析入門」受講生のみなさま』なる案内が貼られていました。こういうのって、なんとなく嬉しいものですね(^^)


「必ず靴下を履いてきてください。ストッキングはダメです。」とも事前アナウンスがありまして、建物に入口で用意されたスリッパ(というか健康サンダル風のもの)に履き替えて、入館記録を書いてから、3階の会議室へ行きました。階段には研究内容のポスターがたくさん展示されていました。

この面接授業は定員20名で、体験実習は5人ずつのグループに分かれて行われました。私の参加したグループは、まず加速器にかけるための試料作りの手順説明や、使用器具の説明からでした。


マイクロピペットや分液ロートの使い方を水を用いて練習しました。


電子秤を使って、マイクロピペットで計りとった水の量が正しいかを確認します。

2グループ同時に行い10人いたのですが、全員が一回ずつ練習しました。秤の表示を「面白いから記録しよう!」と言って松崎先生は書き取っていました。こういうの、実験の先生のところにお邪魔してるんだな~というのを実感してとても楽しかったです(^o^)

ちなみに、ひとりだけピッタリの数値が出た人がいました。


実習一日目の後半はいよいよ試料作りです。物理の面接授業でしたが、質量分析をするために加速器にかける試料を作る作業は、化学的な作業でした。白衣に防護メガネ、フィルター付マスク、そしてゴム手袋という完全防備!

この体験実習は1グループひとりしか作業はできないので、5人中4人は見学をします。私はこの作業を実際にやらせていただくことができました。温泉水(北海道の稚内温泉ふれあいの湯、天塩温泉)などの中のヨウ素を抽出・精製する作業です。途中ガスが抜きをする必要などがあり、とても緊張しました。


でも、めったにできない体験でしたので、とても面白かったです。研究室の方に最初デモンストレーションしていただき、その後ご指導いただきながら作業しました。

上の写真は分液ロートで精製したヨウ素に硝酸銀を加えてヨウ化銀を作ったものと、比較のために精製していない温泉水に硝酸銀を加えたものです。スミマセン、どっちがどっちだったかなσ(^_^; すぐにレポートを書かなかったので忘れてしまいましたorz


ヨウ化銀を作った後、上澄みと沈殿物に分け、沈澱したヨウ化銀を加速器の試料に使うのですが、しっかり分けるために遠心分離器にかけるのだそうです。こちらがその機械です。(この作業は解説のみで体験せず。)


お次は、加速器にかけるためのプレス作業です。加速器は巨大なのですが、試料は微量。先生が持って見せてくださっているのが、ヨウ化銀をディスクに詰めるための治具です。


そしてこちらがプレス器。


ヨウ化銀を詰めたものはこ~んなにちっちゃいのです!


そしてあの小さなものをこのディスクにセットして、ディスクを加速器にかけます。ヨウ素は水を吸着しやすいとのことで、ヨウ素を加速器にかける場合は、ディスクをシリカゲル入りの容器の中に置いて、その中で装着作業をするそうです。

試料に水がついてしまうと、加速器にかけたときに水蒸気が出てうまく真空に引けなくなったりと、分析データに支障が出てしまうのだそうです。


こちらは体験風景。私は別の作業をすでに体験済みでしたので、このプレス作業は見学のみでした。


試料をセットしたディスク。水がついてしまったとのことで、直接回して見せてくださいました。周りの小さな穴にプレスした試料をいくつもセットします。(写真のものはいくつかが埋まった状態。)


翌週、7月15日に今度は加速器そのものを見学しました。


はじめの予定では前の週に用意した試料を加速器にかけるとのことでしたが、「実験スケジュールに遅れが出て、まだその前の試料が加速器にかかっているので、見学時にセットされているのは前回作業したものではありませんがご了承ください」とアナウンスがありました。


タンデム加速器は縦型で、建物は地上8階建てサイズのものを5階分に区切ってあるとのことでした。諸注意を聞き、ひとりずつIDカードをお借りしてセンサーにかざしてから中に入ります。壁厚80センチには驚きました。


他の班が見学している時には、コントロール室で全体の説明を聞きました。先生の他、3人の研究員の方々が引率してくださいました。


建物内は温度を一定に保つようになっているそうで、かなりひんやり。また、場所により防護ガラスに覆われており、その外から見るようなものもありました。上の写真がそういう場所です。イオン源室というそうです(75.9kV)。真空中で扱いやすいセシウムの蒸気を用いています、とのこと。

いくつか先の写真でTop Viewと書いてあるパネルが、この機械の図です。これがあるのが建物の一番上で、ここからスタートします。


こちらが縦型加速器のボディ。この中をイオン化されたビームが走っているわけですね。電圧をあげているそうで、音がすごい場所でした。


こちらがもう少し下の部分。

アルゴンガスを用いたガスカウンターで、ヨウ素127/129のそれぞれをカウントするのだそうです。ガスの中にビームを投入するとエネルギーが減るのだそうで、あらかじめヨウ素129の減り方はわかっているので、それと比べて数えるのだそうです。


ここで曲げてます、の部分。分析内容によってビームのコースを変える必要があるそうなのですが、コース変更は磁場をかけることにより行うのだそうな。


ファラデーカップという分析電磁石の部分。飛び出したものごとに、このいくつかあるファラデーカップに入るのだとか。(ここらへんはかなり近づいて見学しました。)


最後はここで、到着~。小さなものを、分析しようと思うと、小さければ小さいほど大きな施設が必要になるというのが印象的でした。見学すると、そのものは決して見えなくても、なるほどとリアルに実感できました。

また、この施設は東大にありますが、筑波大学や理研の研究にも使われているのだそうです。(そちらは質量分析ではなくまた別の測定なのだとか。)

見学後は会議室に戻り、出たデータを使って年代を計算しました。その中でポアソン分布のお話や誤差のお話などがありました。私は計算があまり得意ではないので、先生がエクセルで計算してたのを主に見てました・笑。で、結果は今回の北海道の温泉水のヨウ素の年代は4565万年(±101年)と出ました!

終わりに、単位は全出席で付与とのお話と、やむを得ず欠席2回まではレポート提出で単位付与とのアナウンスがあり、今回はとくに感想文の提出もなく全四回の面接授業が幕を閉じました。初めて実験のある面接授業に参加しましたが、とても充実した楽しい4日間でした!

松崎先生、ありがとうございました(^o^)



反省点:受講後すぐにブログを書かないと細かいところが思い出せなくなるな~ (^◇^;) 年かな?

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