ジョアオ・マゲイジョ『マヨラナ 消えた天才物理学者を追う』(NHK出版, 2013年)


7月1日(土)に図書館で借りて、7月5日(水)読了。市立図書館になかったのでリクエストをかけ、よその市から取り寄せてもらったので、せっせと読みました。

1938年、第二次世界大戦を目前に、謎の失踪をしたというイタリアの物理学者、エットーレ・マヨラナの伝記的な本です。よくお邪魔しているブログの管理人さんが紹介していたので、面白そうだと思い読んでみました。その通り、とても面白かったです。

書いたのは現役の理論物理学者、ジョアオ・マゲイジョさんです。ポルトガル人だそうなので本当はジョアン・マゲイジョさんらしいのですが、ロンドンでお仕事されているそうで、英語圏ではジョアオと呼ばれているのだそうな。(訳者あとがきより)で、この著者の方の他の本を見てみましたら、『光速より速い光』(NHK出版, 2003年)なるものがあったので、それも先ほど図書館に予約してみました。こちらは地元図書館にも蔵書がありました。


さて、こちらの写真がマヨラナ氏でございます。シチリア出身。彫りが深く目鼻立ちがハッキリしていて黒目、黒髪と、南イタリア人らしいお顔をしてますね。これで自分の容姿に自信がなかったってんですから、いったいどんなんだったら自信を持てるというのか?と思ってしまいます。( = つまり私にゃ男前に見える・笑)

冗談はさておき。4月半ばに受講した「核物理の初歩」の面接授業の時に、松井先生が参考文献として挙げていたエミリオ・セグレさんの本はまだノロノロ読んでいて終わっていないのですが、このマヨラナさんはそのセグレさんの同僚でして、『マヨラナ』の舞台はパニスペルナ通りというところにあったローマ大学です。

ここにはリーダーとしてエンリコ・フェルミさんもいたそうで、マヨラナ氏はフェルミさん曰わく、「ガリレオやニュートンに匹敵する」天才なのだそうな。ま、それゆえなのかなんなのか、あまり皆さんとは仲良くなかったそうではありますが…。しかし、ドイツのハイゼンベルクさんとはとても気があい、仲が良かったそうです。

で、日本人にとってはあまりいい気持ちがしない話題になってしまいますが、セグレさんとフェルミさんは戦争をきっかけにアメリカに渡り(二人ともユダヤ人の家系だったので)、その後、原発や原爆の仕事に関わっていきます。

しかし、マヨラナ氏はそうなるずっと前に、ある時から科学の進む道が見えてしまったのか、こつ然と姿を消してしまう…というのがこの物語なのです。

核兵器開発のために誘拐された、自殺した、アルゼンチンに逃れた、修道院に入った等々、無数の憶説が飛び交い、様々な本やドキュメンタリー(映画やテレビ)がイタリアでは出版・制作されているのだそうな。

Brigelaのジェラート(カシスとミルク)
Brigelaの由来はブリオッシュとジェラート
シチリアの食べ方だそうです
次回はブリオッシュも食べてみよう!

ところでこのマヨラナ氏は天才と言われていたにも関わらず、あまり論文を発表していなかったのだそうです。先に名前をあげたハイゼンベルクさんとの関係もはたから見ると、同じ発見をしていたのにマヨラナ氏が発表しないでいたために、ハイゼンベルクさんに先を越されてしまった!という状況だったのだそうな。そしてそれを、同僚さんたちのヤキモキとは裏腹にまったく頓着しないご本人…。こりゃ、なかなか周りに理解されないでしょうなぁ(^◇^;)

しかしこの人の名前は「マヨラナニュートリノ」というものの中に、しっかりと残っているのです。

そして、マヨラナニュートリノがあるとするならば、ニュートリノには質量はなきゃおかしいというんで、この辺りの解説にはほんのちょっぴり日本の研究所グループのことも登場します。個人名では小柴先生が出てきました。(原作は2009年の出版なので、ニュートリノの質量のところには残念ながらまだ梶田先生のお名前は出てきません。)

このように、物語の中にはところどころに物理の解説がありまして、それは主に原子と原子核、核分裂、ニュートリノ(素粒子や対称性など)のお話なのですが、これにはなんともかわいらしいイラストの図解がついていて、なんだかとっても分かりやすい!のです。(分かった気にさせてくれるだけ?)

とくに個人的にタイムリーで面白かったのは、7月1日の面接授業で放射性同位体の話を聞いた後に、この本の中でもそれを読んだこと!アルファ、ベータ、ガンマと三種類あるのは分かってたけど、その中身がなかなか覚えられなかったのが、マゲイジョさんの説明を読んだら「おお!ナルホド~」となりました(笑)。

やはり、それを発見した科学者たちの物語も一緒に読むと、教科書に載ってくることもリアリティあるイメージとして頭の中にとどまってくれるのかも?

また、フェルナンド・ペソアの引用があるのはポルトガル人の著者らしいですし、そのほかにもピランデッロやタブッキの名が出てきたりと、物理学者の物語ではありますが、文学好きな方でも楽しめるのではないかな~と思わせるところがあります。

というわけで、ストーリーとしても、お勉強としても、とても楽しめた本でした。

LiLAさん、面白い本を教えてくださってありがとうございま~す(^^)


コメント

LiLAっくま さんのコメント…
僕が関係しているイタリアの会議で,
ずっと昔それに出席したとある教授が,
「フェルミがいましたよ」
って言ってました.
Sanae さんの投稿…
★LiLAっくまさん、こんにちは。
それを言ったら、うじゃうじゃいらっしゃるのではないですか?いつものところに(笑)。

面白い本を紹介してくださってありがとうございました(^^)今日はVSLとやらの本を借りてきました。Very SiLlyの略らしいです?

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