クリス・アンダーソン『MAKERS』(NHK出版,2012年)


著者のおじいさんの時代の発明家達は、自分の画期的なアイデアを世に出すのに、自分の手元でそれを成し遂げることはほとんど出来ませんでした。材料を調達するのにも、完成品を送り届けるのにも時間とお金が今よりずっとかかりましたから、特許をとって、そのアイデアを大手企業に委ねるしかありませんでした。

ところが、今は時代が違います。インターネットや流通の進化で、世界が近くなったこの時代、発明や物作りもかつてとはまったく違うスタイルを実現しています。この本は、アイデアの持ち主が特許を申請することなしに起業し、自らの手で自分のアイデアを物として作り上げることが可能だと書いています。

オープンソースを共有した物作りコミュニティーの話、自宅でのデスクトップ工房での物作りの話、そして実際の起業の話などなど。

また、その中には資金繰りとしてのクラウドファンディングの話や、コミュニティーに集まる有能な人材とのビジネスの始め方までが紹介されており、読み進めながらワクワクするのを止められません!

とくに面白かったのは、インターネットコミュニティーの中では、投稿として表現されたものが素晴らしければ、個人のバックグラウンドはほとんど問題ではないという部分です。

ある晩の「読書酒」

例えば第7章のこんなお話。

オープンソースから模造品を作っていたグループのメンバーからコンタクトがあった時、著者はそれを咎めず自分のチームに加えました。するとその人は、コミュニティーのメンバーたちの期待をはるかに上回る活躍をしたというのです(詳細は本書をお読みくださいね)。このエピソードには心底感動しました。インターネット越しのお付き合いなので、お互いに別々の国に暮らし一度も会っていないにも関わらず、すべては成し遂げられました。あるいは、インターネットを通して別々の国同士がつながったからこその、「補い合う」というミラクルだったのかもしれません。

オープン「公開」にすることのポジティブな面はこういうところにあるのだなぁと思いました。

第9章のオープンオーガニゼーションというところも印象的でした。なかでも、DIYドローンズというコミュニティーにどんどん革新的な投稿をしていた人物が、最終的には3DロボティクスのCEOになったというエピソードはいいな~と思いました。彼の初めての投稿は19歳の時で、24歳でCEOになったのです。しかも、彼に共同創業者の話をもちかけた著者は、相手がどこの誰で、どんな方法で今のスキルを身につけたのかなどは、すべて後から知ったのだそうな。

今、目の前で目にしているものだけを基準に信頼している関係というのは、なんて清々しいのだろうと思いました。相手の繰り出すものが圧倒的であるということと、お互いが同じ興味を共有し、一緒に改良していく中で生まれる信頼感なのでしょうね、きっと。

この本もすでに5年前のものなので、おそらく現在のDIYコミュニティーはもっともっと進化しているのではないでしょうか。

とてもワクワクする面白い本でした。この本も、Facebookグループ「放送大学の本棚」で紹介されていたなかから読みました。元の投稿はこちらです→https://m.facebook.com/groups/765351200311482?view=permalink&id=765408836972385

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